パブリッシャーの人材戦略、変化の時(2019/11/28)

こんにちは。キメラです。このnoteは弊社のニュースレターで過去に配信した記事を再編集したアーカイブです。ニュースレターではパブリッシャーの方々に向けて国内外の注目ニュースをご紹介するほか、キメラの最新動向を隔週でお届けしています。最新号を受け取りたい方は、ここから登録できます。

1.パブリッシャーの人材戦略、変化の時

2019年秋は、海外パブリッシャーの組織に様々な動きがありました。11月末までの人事ニュースを振り返りながら、今のパブリッシャーに求められる組織のあり方に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

サブスクリプション(有料購読)の重要性が高まる中で、マーケティングやデータ分析に長けた人材が相次いで要職に就任しています。

2019年11月13日に日本版を開始したばかりの経済メディア「Quartz」は、10月に経営体制を変更しました。新CEOに就任したZach Seward氏はこれまで製品開発、顧客拡大、データの可視化を担当し、有料課金事業をリードしてきた立役者です。

2019年9月11日、「New York Times」は次期オーディエンスディレクターにHannah Poferl氏を指名しました。同社のオーディエンスディレクターはプラットフォーム横断での読者エンゲージメントの把握や記事の多様化に取り組むポストです。Poferl氏が分析業務を長く経験してきた背景もあり、NYTがデータに基づいた読者エンゲージメントを重視する姿勢が感じられます。

ビジネスモデルの転換とともに人材の需要が変化しているのは、現場社員も同様です。

DIGIDAYはパブリッシャーの人材動向について継続的に報じています。NYT、The Atlantic、The Daily Beastなどがマーケティングやビジネス戦略に長けた人材を内部に抱えて「インハウス化」しようとする風潮が高まっており、各社が人材獲得に苦戦していることが調査で明らかになっています。

一方で、こんな残念なニュースも。

米国の老舗スポーツ雑誌「Sports Illustrated」は、新たな経営陣のもと150名のスタッフのうち40名をリストラすると発表しました。代わりに200名のフリー記者と契約し、大学・プロスポーツチームの記事コンテンツをカバーするそうです。どのポストが削減の対象かは明らかではありませんが、社員の執筆記事が減ることは推測できます。スタッフライターとして期待される価値とは何なのか、考えさせられます。

2.海外パブリッシャーの最新ニュース

CMSで世界シェアトップのWordPressを採用する米Automatticのブログサービス「WordPress.com」が、サブスクリプション機能の提供を開始しました。記事だけでなくニュースレターや寄付の受付も可能とあって、幅広く導入が進みそうです。

2019年11月19日、Googleは音声ニュースを個人の関心にパーソナライズして再生する「Your News Update」を米国で提供開始しました。仕様はGoogleのブログ(英文)に詳しいです。併せてご覧ください。

2019年11月25日、シンガポール政府は「偽ニュース・情報操作対策法」に基づく情報の訂正を初めて命じました。これはフェイクニュース対策のため、虚偽と判断したインターネット上の情報について訂正・削除を命じることができる法です。国家によるニュースの虚偽判断がジャーナリズムを制限するものではないかどうか、議論が続きそうです。

3.国内パブリッシャーの最新ニュース

<PICKUP>

今月は、様々な手法で収益化に取り組むメディアの事例が報じられました。

メディアジーンが運営する「GIZMODO」は、2019年7月の「Amazon プライムデー」で数億円の売上を達成しました。インタビューではクラウドファンディングなどコンテンツコマースを促進するための取り組みを紹介しています。オリジナル商品の販売やリアル店舗の展開も展望にあるとのこと。

プレジデント社はサブスクリプションモデルの導入に先駆け、有料メルマガやオンラインサロンで収益化に取り組んでいます。誌面以外の収益化は、必ずしもデジタルメディアから始めなければならないわけではありません。その一例として参考になりそうです。

<その他の注目ニュース>