こんにちは、株式会社キメラです。私たちは出版社・新聞社や放送局といったパブリッシャーに対し、メディアビジネスをグロースするための課題解決やデジタル化を支援している会社です。
弊社のnoteではメディアのサブスクリプション(有料購読)化に役立つ情報を紹介しているほか、業界の最新情報をお伝えしています。
海外メディアのサブスクリプション、5つの”定石”ペイウォールを解説そんな私たちの2020年最初の記事では、2019年に新たにサブスクリプションを開始した・開始を表明したメディアの一覧をお届けします。
新進気鋭のメディアから歴史あるメディアまで、注目のラインナップをご覧ください。
※2020/01/16 サブスクリプションを開始したメディアを追記しました。
目次
- 2019年4月:テニマガ・テニス部
- 2019年5月:Webオートバイ
- 2019年6月:ダイヤモンド・プレミアム
- 2019年10月:WIRED SZメンバーシップ
- 2019年11月:Quartz Japan
- 2019年11月:文藝春秋digital
- 2019年12月:角川文庫・ラノベ読み放題
- 2020年1月:英・Fortune
- 2020年2月:フットボリスタ
- 2020年はサブスクリプション化がさらに加速する見込み
- サブスクリプションのトレンドは「主力事業化」「軽量化」
- 株式会社キメラへのお問い合わせ
- ニュースレターを発行しています
2019年4月:テニマガ・テニス部
ベースボール・マガジン社WEBが運営する「テニスマガジンONLINE」は、自社の会員組織「テニマガ・テニス部」の有料会員特典として、限定記事を【月額440円(税込)】で配信するサブスクリプション(定額制)サービスを提供しています。会員組織ではメルマガ配信のほか、プロプレーヤーのレッスンやイベントを提供しており、リアル施策にも力を入れているメディアです。
2019年5月:Webオートバイ
モーターマガジン社が運営する「Webオートバイ」は、【月額1,200円(税込)】で会員限定記事と紙媒体の「月刊オートバイ」最新号を送付しています。同媒体と「テニマガ・テニス部」は、リボルバー社が提供するクラウドCMS「dino」でサブスクリプション化を実現しています。
2019年6月:ダイヤモンド・プレミアム
ダイヤモンド社は「週刊ダイヤモンド」のWebオリジナル記事とバックナンバー、同社発行の電子書籍が読み放題になるサービスを【月額1980円(税込)】で提供しています。ダイヤモンド社はサブスクリプション化にあたり、組織体制やKPIの再設計に取り組んだといいます。成功の秘訣はキメラのnoteで記事化していますので、あわせてご覧ください。課金管理にはZuoraを使用しています。
2019年10月:WIRED SZメンバーシップ
コンデナスト・ジャパンは、雑誌『WIRED』デジタル版の有料購読プログラムを【月額980円(税別)】で提供しています。会員限定記事や編集部からのニュースレター、雑誌のPDFデータを利用できるほか、購読者向けのイベント招待などメディアブランドを生かしたリアル施策にも取り組んでいます。WIRED SZメンバーシップのシステムは弊社キメラがサブスクリプション管理SaaS「Piano」で構築を支援しました。
2019年11月:Quartz Japan
Newspicksを運営するUZABASEが傘下におさめている米国の経済メディア「Quartz」日本版がローンチしました。【月額1000円(税込)】で提供しているのは「毎朝のニュースレター」「英語版記事の読み放題」と、ニュースレターにかける熱量がうかがえます。ニュースレターを重視する米国版Quartzの思想をくんだものでしょう。サブスクリプション化できるのは記事コンテンツに限らないことを示す好例です。
2019年11月:文藝春秋digital
文藝春秋は月刊誌『文藝春秋』で初となるデジタル化とともに、最新号のコンテンツや過去記事のアーカイブ、デジタル版オリジナルコンテンツの読み放題サービスの提供を【月額900円(税込)】で開始しました。特筆すべきは、同サービスをブログサービス『note』で運営していることです。自社サイトを構築せずプラットフォームを利用することで、サブスクリプションの導入コスト抑制に成功しています。
2019年12月:角川文庫・ラノベ読み放題
KADOKAWAは電子書籍ストア「BOOK☆WALKER」上で、ライトノベルなどの電子書籍10,000点以上が読める定額制読み放題サービスを【月額760円(税抜)〜】で提供しています。電子書籍ストアのプラットフォームを活用していることと、Apple Payやキャリア決済など多彩な決済手段に対応していることが特徴です。
2020年1月:英・Fortune
2019年12月11日、米ビジネス誌「Fortune」が2020年1月からデジタルのサブスクリプションを開始することが明らかになりました。現在、同社の収益は60〜70%が広告掲載・スポンサー収入ですが、サブスクリプションが3年以内に総収益の20%、5年以内に30%を占めると見込んでいます。提供予定のプランは「デジタル読み放題」「デジタル+紙」「デジタル+紙+プレミアム動画」の3種類と報じられています。
2020年2月:フットボリスタ
サッカー誌「フットボリスタ」はサブスクリプション化にあたり、編集方針やサブスクリプション化に込めた想いを公式サイトで表明しています。海外ではこうした宣言は決して珍しくありません(同じスポーツメディアでは「The Athletic」などが有名です)が、国内では興味深い例です。
2020年はサブスクリプション化がさらに加速する見込み
出版科学研究所によると、2019年の出版物の推定販売金額は15年連続で前年を下回る見通しです。紙媒体の減益を補うため、2020年は国内でデジタルメディアの収益化を目指す動きがさらに加速するでしょう。
特にサブスクリプション化は、その収益性の高さから特に注目を集めています。New York Timesのデータによると、サブスクリプションのユーザー平均単価はデジタル広告の60倍以上(デジタル広告が約2ドル、サブスクリプションが約138ドル)にのぼります。「2012年に収入の9割を広告が担っていた媒体も、2020年までにサブスクリプションが収入の半分を占めるようになる」との予測もあるほどです。
また英国の「The Guardian」紙のように、サブスクリプションをはじめとするデジタルメディアのユーザー課金(有志の「投げ銭」を含む)によって経営のV字回復を成し遂げた例もあります。
こうした海外の事例も踏まえ、2020年は、日本でもデジタルメディアのサブスクリプション化に向けた動きがさらに活発になるのではないでしょうか。
サブスクリプションのトレンドは「主力事業化」「軽量化」
コンテンツの有料課金は国内でも長らく行われていますが、上記で紹介したような近年サブスクリプションを始めたデジタルメディアには特徴的なポイントが2つあります。
1点目の「主力事業化」は前の段落でお伝えした通り、紙中心のパブリッシャーにおいても、デジタルメディアが重要な収益源とみなされていることを示しています。従来、一部のパブリッシャーが「とりあえずデジタル化してみよう」と実験的にデジタルメディアの立ち上げやコンテンツ課金に取り組んでいた状況とは一線を画し、自社の今後を担う「新規事業」としてサブスクリプション化に取り組む事例が増えているのです。これはダイヤモンド社が組織体制やKPIを再設計した例や、Fortuneがローンチ前にサブスクリプションの具体的な収益プランを示していることからも伺えます。
2点目の「軽量化」は、国内パブリッシャーの間で急速に広まりつつあるトレンドです。デジタルメディアにサブスクリプションを導入する方法は、従来は自社開発が中心でしたが、近年は自社開発に比べて導入にかかる時間・コストを抑えてサブスクリプションを運用できるサービスやプラットフォームが多数存在します。実際に、2019年に国内でサブスクリプションを開始した7つのメディアのうち6つが、外部のサービスやプラットフォームを活用していることが明らかになっています(テニマガ・テニス部、Webオートバイ、ダイヤモンド・プレミアム、WIRED SZメンバーシップ、文藝春秋digital、KADOKAWA)。
サブスクリプションを導入する方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
自社開発? それともSaaS? メディアがサブスクリプションを導入する方法とは今回のブログは以上です!
少しでも皆様のお悩みを解決するヒントになれば幸いです。今後も、パブリッシャービジネスに役立つ知見や事例をご紹介していきます。
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