日本新聞協会『新聞技術』にキメラが寄稿しました

Jun 23, 2020 5:27 PM (GMT+9)

日本新聞協会が2020年3月25日に発行した『新聞技術 2020年第1号(No.250)』に、弊社代表の大東洋克が「サブスクリプションビジネスと新聞メディア――コンテンツ収益化の可能性」というタイトルで寄稿しました。以下、掲載許可をいただき、寄稿内容の一部を抜粋してご紹介します。

サブスクリプションの現状

オックスフォード大学とロイター・ジャーナリズム研究所が20年1月9日に発表した2020年のメディアトレンド予測によると、32か国のメディア企業幹部のうち半数が、主要な収入源として「読者への課金」を最重要視すると回答している。パブリッシャーのサブスクリプション重視のトレンドは、今後も更なる盛り上がりを見せるだろう。

「サブスク元年」の甘くない真実

「既存のコンテンツをそのままデジタル化・有料化すれば、紙の売上減をまかなえる」という発想は非常に危険だ。サブスクリプションは、入念な商品設計、長期的な投資戦略、継続的なマーケティングが求められるビジネスモデルだ。導入さえすれば収益に直結する“魔法のソリューション”ではない。

前出のロイター研究所による19年6月の調査報告によれば、読者のニュースに対する信頼度は、調査対象の38か国中25位と低い。日本では「デジタルの情報に対価を支払う」文化が醸成されるには時間が必要だ。

デジタルメディア収益化のポイント

成功の鍵は、主体性と目的意識を持つこと。具体的に求められるポイントは以下の通り。

【デジタル収益化のチェックリスト】 (1)組織、人材 ・社内全体がデジタル化による変化を受け入れ、施策の実行と振り返りを素早く行えるか ・事業の立ち上げを想定した体制構築ができるか ・コンテンツの分析体制が整っているか ・継続的なマーケティングを実行できる体制づくりができるか ・事業計画やデジタルにリテラシーのある人材が育っているか (2)事業計画 ・デジタル化の目的と評価指標を設定できているか ・デジタル収益化による既存事業への影響を考慮しているか ・サブスクリプション以外の収益化手段(eコマース、イベントなど)も検討しているか ・投資回収(収支の黒字化)タイミングに目星をつけているか (3)商品設計 ・既存の自社資産(記事コンテンツやイベントなど)を通じて生み出せる価値を理解しているか ・デジタルの読者ターゲットを設定できているか ・ブログサービスなど個人が発信する媒体とのすみ分けを意識できているか

サブスクリプションをはじめとするデジタルの収益化においては、緻密な現状分析と事業設計を行える体制づくりが欠かせない。

新聞業界におけるコンテンツ収益化の課題と可能性

日本の新聞業界を語る上で欠かせないのは、紙媒体との共存だ。だからこそ、デジタルメディアのサブスクリプションを「紙媒体の代替手段」として扱ってはならない。「紙は紙」「デジタルはデジタル」と施策をバラバラに行うのではもったいない。情報のプラットフォームにとどまらない、人が集まるプラットフォームとして自社の価値を認識し、最大限に活用することが大切だ。

おわりに

デジタル化の現場で感じることとしては、ほとんどのパブリッシャーが、現状に対して大きな変化を生み出せずにいるか、変化によって生じる結果を恐れているということだ。大切なのは、時代やニーズに即して一部に変化を加えたり、新たに要素を加えたりしながら、新たな価値をつくり出すことだ。

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