株式会社キメラ(XIMERA,inc.)は、出版社・新聞社や放送局といったパブリッシャーに対し、SaaSの提供やコンサルティングを通じたビジネス支援をしている会社です。
弊社のニュースレターでは、パブリッシャーの方々に向けて国内外の注目ニュースをご紹介するほか、キメラの最新動向を隔週でお届けしています。
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ブログではバックナンバーを掲載しています。ここからは【2019年10月1日号】の内容をご覧ください。
1.問われる「広告とジャーナリズム」のバランス
直近の海外パブリッシャーの動向からは、「広告とジャーナリズムのバランス」の難しさを考えさせられます。
■ニュースメディアの危機か、広告主が気にするネットの「禁句リスト」
ニュースメディアの危機か、広告主が気にするネットの「禁句リスト」
米国のニュースメディアが、ネット広告の「禁句リスト」に振り回されている。 どういうことかというと、近年、ネット広告の伸長は著しいが、世間のネットリテラシーの向上にともない、広告主も、「サイトの中身と広告はまったく別」というスタンスをとれなくなってきた。 ...
forbesjapan.com
米国では、デジタルメディアの掲載コンテンツに特定のワードが含まれている場合、広告主がブランドセーフティの観点で広告掲載を拒否する「禁句リスト」が拡大しているようです。広告主が指定するワードには「殺人」や「銃」などが含まれているため、事件報道に広告掲載ができなくなる事態が起きています。広告掲載がパブリッシャーのコンテンツに影響を及ぼしている事例だといえるでしょう。この記事でも、CNNやUSA Todayなどが広告掲載をしやすい生活・文化欄やテクノロジー、ビジネスやスポーツ欄のコンテンツを増やしていることについて疑問を呈しています。
■フェイスブック、一部パブリッシャーのみに報酬
https://jp.wsj.com/articles/SB11431488475868774461504585582811642762420
Facebookが今秋に導入を予定しているニュース専用タブに関する報道です。Facebookはニュース提供社への報酬を限られたパブリッシャーのみに支払う計画であることが明らかになりました。また、過去のフェイクニュース騒動を受けて、そもそもニュースタブに掲載するパブリッシャーの基準についても綿密に議論が行われているようです。ポイントは、落選基準に「虚偽の情報発信」に加え「大量の広告を流す」ことも含まれている点です。広告がニュースの価値を損なう要素として捉えられているとも解釈できますね。
2.海外パブリッシャーの最新ニュース
■Vox MediaとNew York Mediaが合併。モダンで独立したメディア企業へ(英文)
Vox Media + New York Media come together to form the leading independent modern media company
Today we couldn't be happier to announce that Vox Media and New York Media are merging to create the leading independent modern media company. Our combined business will be called Vox Media and will serve hundreds of millions of audience members wherever they prefer to enjoy our work.
www.voxmedia.com
米国の新興WebメディアVox Mediaが、「New York Magazine」等を刊行する老舗パブリッシャーであるNew York Mediaとの合併を発表しました。実質的にはVox Media側が買収を行ったとされており、合併は2019年内に行われる見通しです。Vox Mediaが持つWeb上のプラットフォームやポッドキャストネットワークなどを共同で活用していくようです。新興Webメディアとの合併統合は、近年ファンドによる買収が続いている米国パブリッシャーの中では珍しい例ですね。
■米メディアThe Atlanticがサブスクリプションを発表「差別化に自信」
「差別化には強い自信がある」:アトランティック社長、ペイウォールについて語る | DIGIDAY[日本版]
アトランティック(The Atlantic)は9月5日、サブスクリプションサービスについて公式発表を行った。展開される商品は3種類で、料金は年間49.99ドル(約5400円)から100ドル(約1万800円)までとなっている。 ...
digiday.jp
創業160年を超える米国メディア「The Atlantic」が2019年9月5日、新規にデジタルメディアのサブスクリプションを開始しました。サブスクリプションの値付けにおいては5000人に購入意欲の調査を実施したほか、競合調査も念入りに実施したようです。The Atlanticの動向をウォッチすることで、歴史あるパブリッシャーがサブスクリプションに参入するにあたってのヒントが見つかるのではないでしょうか。上記はDIGIDAYによる社長インタビューの日本語訳です。発表されたThe Atlanticのリリースは「Introducing The Atlantic’s New Subscription Model」(英文)でご覧になれます。
3.国内パブリッシャーの最新ニュース
■IASがメディアクオリティレポート日本語版を発表
メディアコンテンツ・広告の品質計測ツールを提供するIntegral Ad Science(IAS)が、アドテクのグローバル調査の日本語版を発表しました。世界主要10か国の視認性、アドフラウド、ブランドセーフティを含む最新の調査レポートです。日本ではブランドリスクの指標が大幅に改善され、対策が進んだことがうかがえます。
また、今月は大手パブリッシャーとデジタルサービスの連携事例が報じられました。
■CCCグループの「読み放題サービス」小学館・博報堂DYMPと資本業務提携
■民放5社とフリークアウト、テレビポータル「TVer」等の動画広告マーケットプレイスを共同開発