2025.11.06(Arc XP/原文)
- パフォーマンスの高いトップページに欠かせない3つの要素
- 発見・エンゲージメント・収益化のバランス
- UX:成否を分ける決定的要素
- UXを損なわない収益化
- トップページの未来
- いまパブリッシャーが取るべきもっとも大胆な決断
トップページは第一印象です。アピールであり、握手のようなものでもあります。ユーザーが訪れたとき最初に目にするもので、その役割を果たす必要があります。
Arc XPのデザインリードであるアーロン・シュミット氏は、UX戦略とプロダクトデザインに優れた情熱的なデザイナーで、プロダクトにユーザー視点を反映させることに重きを置くデザイナーでもあります。20年にわたるウェブデザインの経験から、彼は何が有効で、何が有効でないかを熟知しています。ここではエンゲージメントと収益を促進するために、パフォーマンスが高く、オーディエンスに焦点を当て、戦略的に設計されたニューストップページの構築方法について、彼の見解を紹介します。
パフォーマンスの高いトップページに欠かせない3つの要素
優れたトップページは、直感的で速く、そしてパーソナライズされています。ユーザーに理解を強いるのではなく、シームレスにユーザーを誘導します。アーロン氏は次のように説明しています。
「もはや、人々が何気なくウェブサイトを閲覧することはほとんどありません。彼らは目的を持って訪問します。もしパフォーマンスの遅さ、ナビゲーションの悪さ、関連性のないコンテンツに遭遇したら、彼らは離れていくでしょう」。
ユーザーをサイトに留めるために、アーロン氏は高パフォーマンストップページの必須要素を3つに分解しました:
- ユーザーが求めているものを提供する:訪問者がトップページにアクセスするとき、彼らは目的を持っています——速報ニュースを追う、特定の記事を探す、関連コンテンツをみつける——などです。あなたに求められるのは、彼らがそうするための明確で直接的な道筋を提供することです。整理されたセクション、強力な編集キュレーション、パーソナライズされたおすすめが効果を発揮します。
- ブランドを明確に伝える:読者が媒体のアイデンティティをすぐに掴み、その信頼性を確信できることが望ましい状態です。ブランドアイデンティティはロゴやキャッチコピーだけでなく、トップページの雰囲気や機能性に宿ります。力強い編集方針、一貫したデザイン、賢明なコンテンツ階層が信頼性を高め、読者のリピートを促します。
- すべての訪問者に次のステップを提供する:すべての訪問者が上の2つに当てはまるわけではありません。優れたニューストップページは、彼らが手ぶらで去らないようにします。トレンドトピック、編集部のおすすめ、ニュースレターなどを通じて、さらなるエンゲージを促す手軽な手段を提供しましょう。
発見・エンゲージメント・収益化のバランス
万能な手法は存在せず、すべてはパブリッシャーの戦略目標次第です。読者層の拡大が必要なら、ナビゲーションの最適化を優先しましょう。購読数を最大化したいなら、エンゲージメントとコンバージョンを最適化してください。
「優れたトップページは静的ではない」とアーロン氏は説明します。「パブリッシャーのニーズと共に進化するのです。メディア組織はアナリティクスを活用し、読者がどこへ向かっているか、どのコンテンツが成果を上げているか、何を改善すべきかを理解すべきです」。
UX:成否を分ける決定的要素
トップページのユーザー体験(UX)は、訪問者が熱心な読者になるか、イライラして離脱するか決める重要な要素です。優れたUXの中核には、速度、ナビゲーション、パーソナライゼーションという3つの基本原則があります。現代において、人々がブランドのウェブサイトを気ままに徘徊し、隅々まで好奇心を持って探索することは稀です。彼らは貴重な時間と注意力をわずかに割いて、目標達成やタスク完了を目指しています。パフォーマンスが遅い、ナビゲーションが煩雑、あるいは体験がパーソナライズされていないように感じられる場合、彼らは離脱するのです。
悪いUXを選べば読者を失います。読書体験の流れを妨げる迷惑な広告配置や、無関係なコンテンツで散らかったトップページなど——これらはユーザーを追い払う近道となってしまいます。
効果的なコンテンツのキュレーションも同様に重要です。パブリッシャーは関連性が高く最新のコンテンツを積極的に提示する必要があります。「読者が速報や自分に関係するメディア、新鮮な情報を期待しているにもかかわらず、古くて無関係なコンテンツで乱雑さを感じてしまったとしましょう。彼らはその体験を覚えていて、注意と時間をどこに費やすかを決める際にそのことを思い出してしまうでしょう。これは当然のように思えるかもしれませんが、極めて重要なことです」。
アーロン氏が指摘する、「ページ速度、ナビゲーション、パーソナライゼーションが読者維持に与える影響を本当に理解するには、これらの要素が欠如した場合のユーザー体験を想像してみてください」。
適切に設計されていれば、これらの要素は舞台裏でシームレスに機能します。それ自体が目立つことなく、ユーザー体験を向上させるはずです。しかし、不十分な場合には、ユーザーはそれらにすぐ気づき——離脱の理由となるのです。
UXを損なわない収益化
読者を離さず、収益を上げたいのであれば、常に読者を最優先にすることです。とくに第一印象となるトップページで価値を見出せなければ、すべての収益が危うくなります。まず読者の期待に応えることに注力し、その後、慎重に、一貫して収益化の試行を重ねましょう。
アーロン氏は注目を集めようとしすぎるトップページデザインのトレンドに警鐘を鳴らします。「自動再生、過度な動き、強制的なエンゲージメントを促すものは、 大抵悪いアイデアです」。
ペイウォールと広告のバランスについてはどうでしょう。「読者の関心を維持する要素を考えましょう。収益化のための取り組みがそれを妨げるなら、それは逆効果です」。
トップページの未来
トップページは消えることなく、急速に進化しています。
- より有機的で読者意識の高い体験:多層的なパーソナライゼーションははじまったばかりです。最良のアプローチは直感的で、読者との信頼関係を基盤とし、押し付けがましく不気味な印象を与えないものです。
- 編集の力:AIと自動化により、編集者は本当に重要なこと——読者にとって広く、意味のあるコンテンツを提供すること——に集中できる自由を得ることができます。これはフィルターバブルを回避し、パブリッシャーのコンテンツの完全性を保つ鍵となります。
- トップページの枠を超えた存在:優れたパブリッシャーはトップページを超えた視野を持ち、アプリからニュースレター、ソーシャルプラットフォームに至るデジタルエコシステム全体が連携して読者を惹きつける仕組みを構築します。
いまパブリッシャーが取るべきもっとも大胆な決断
トップページを単独の体験と考えるのをやめましょう。プラットフォーム、チャネル、インタラクションを横断する、より広い読者体験の一部として捉えるのです。トップページがブランドのデジタルエコシステム全体とシームレスに連携するとき、期待に応えるだけでなく、それを超える体験を提供できます。
高パフォーマンスなトップページは偶然に生まれるものではありません。戦略的思考、厳密なUX設計、そしてユーザーがページにアクセスするたびに価値を提供するという確固たる姿勢から生まれます。これを正しく実現すれば、エンゲージメント、収益化、ロイヤルティといった成果は自然とついてきます。
株式会社キメラは米ワシントン・ポスト紙が開発した先進的なコンテンツ・プラットフォームである「Arc XP」と日本展開における戦略的パートナーシップ契約を締結しました。伝統あるニュース紙自らが開発した先進的なCMSを通して、日本のパブリッシャーに現代のデジタルメディアに必要な優れたワークフローを提供し、情報価値の最大化を支援していきます。もっと詳しく >
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