2025.11.13(Arc XP/原文)
- スケーラブルな基盤の構築
- 優れたユーザー体験の創出
- テクノロジーによる収益成長の推進
- ミッションの実現と成果の創出
過去数年間、新興メディアも業界の老舗も、成長を促進すべく新たなビジネスモデルを模索してきた。こうした戦略は提携や新たな収益源という形を取る場合が多いが、『ザ・ボルチモア・バナー(The Baltimore Banner: 米国東海岸にある都市のニュースメディア)』は独自のアプローチで成功を収めている。非営利のニュースルーム構築である。
2022年に創刊したばかりのザ・ボルチモア・バナーは、ボルチモア地域のローカルニュース不足を埋めることにフォーカスしたデジタルファーストのメディアだ。彼らの使命は、地域社会に高品質で独立したジャーナリズムを提供することにある。そのデジタルファースト戦略は、革新性、持続可能性、公共サービスへの取り組みを反映している。
「私たちのすべての活動は読者への価値提供が目的です」。同紙CTOのビスワジット・ガンギュリは語る。「非営利組織としての私たちが意図するのは、質の高いニュースルームを維持することであって、利益を上げることではありません」。
この地域社会へのフォーカスとミッションへのコミットメントは、テクノロジー戦略を形作るだけでなく目覚ましい成長を促進し——設立3年でピューリッツァー賞を受賞する原動力となった。
スケーラブルな基盤の構築
ブルームバーグ・インダストリーグループで120名のプロダクト・エンジニアリングチームを率いた経験を持つガンギュリは、ミッション主導のテクノロジー組織をゼロから構築するためにザ・バナーに参加した。プロダクト、デザイン、エンジニアリング、データ、ITを合わせて約15名の精鋭チームは、未来に向けたニュースルームを素早く立ち上げ、拡大するミッションを担った。
ザ・バナーにはガンギュリの加入前からデジタル基盤としてArc XPが選定されていたが、これは正しい判断だった。
「CMSの選択は出版事業の中核を選ぶことです」とガンギュリは語る。「我々にとって信頼性・セキュリティが確保され、エンジニアリング部門の大きな負担なく拡張できるシステムが必須でした」。
Arc XPはまさにそれを実現した。Composer、WebSked、PageBuilderといった中核となるパブリッシングツールに加え、PianoやViafouraといった業界最高峰のパートナーとの連携機能を備えていた。Arc XP内でこれらのコンポーネントが既に整備・検証されていたため、ザ・バナーのチームは最適なソリューション群の選定に費やす時間を削減し、すぐさま構築をはじめることができた。結果として価値創出までの時間を短縮できたのだ。
優れたユーザー体験の創出
ローンチ後、ザ・バナーの読者数は急速に増加。チームは拡大する読者層のニーズに対応するためサイトのリデザインに着手した。ガンギュリによれば、これは読者体験を「根本から」再考する機会となった。
「インフラに依存せず、顧客に価値を提供する方法を見直すため、一歩引いて考えました」とガンギュリは語る。「もっとも重要なユーザー体験を把握できれば、それを最適な方法で提供することに集中できます。Arcで既製機能が利用可能なら理想的ですが、そうでない場合でも自社開発の柔軟性があります」。
Arc XPのPageBuilderとテンプレート化されたテーマコンポーネントを活用し、ザ・バナーは新しく、改善されたサイト体験を展開できた。ガンギュリによれば、Arc XPは彼らのビジョンを制限せず、むしろ実現させたという。チームはそのまま活用したいものはそのままにできた一方、ニーズに合わせたカスタムページコンポーネントも構築できた。
テクノロジーによる収益成長の推進
テクノロジーはザ・バナーのサブスクリプション戦略において重要な役割を担い、大幅な購読数と収益の成長を牽引している。ガンギュリによれば、信頼性の高い技術インフラと優れたユーザー体験創出への取り組みが相まって、ザ・バナーはカジュアルな読者を有料サポーターへと転換できているという。
「テクノロジーは成長戦略における極めて重要なパートナーです」とガンギュリは語る。「オーディエンス転換のワークフローを支え、シームレスな体験を実現する原動力となっています」。
ザ・バナーはArc XPとPianoを組み合わせて購読戦略を実現した。これらのツールにより、非技術ユーザーもエンジニアリング部門の支援なしにオーディエンス・ジャーニーのワークフローを管理可能となった。
ザ・バナーのユニークな非営利ビジネスモデルは、同組織の技術へのアプローチにも反映されている。チームはテクノロジーを単なる業務プロセス支援や収益目標達成のツールと捉えるだけでなく、ザ・バナーのミッション達成に不可欠な要素と見なしている。
「私たちは顧客第一主義です」とガンギュリは語る。「テクノロジーを選択する際、顧客に提供する価値を明確にしなければなりません。まずその点を考慮し、かつそれが安全で信頼性が高く、顧客への提供価値を差別化するものでなければなりません」。
ミッションの実現と成果の創出
わずか2年余りで、ボルチモア・バナーは読者数、購読数、収益の急成長を遂げた。これらすべては、安定した拡張性のある技術基盤によって支えられている。
- 購読者数と収益の成長: 2024年に購読数を50%増加させ、2025年初頭には有料購読者総数6万3000人に到達。これにより前年比37%の収益増加を支えた
- 小規模チームで大きな成果: 急成長するニュース運営を支える15名のチーム
- 価値創出までの時間短縮:ゼロから立ち上げ、2年未満でスケールを実現
- カスタマイズされたサイト体験:PageBuilderとThemesによるサイト全体の再設計
- ミッションに沿った技術:内部の利便性ではなく読者価値に基づいてツールを選定
デジタル戦略の中核にArc XPを据え、ザ・ボルチモア・バナーは継続的なイノベーションに注力している。Arc XP IntelligenceのようなAIツールの活用から編集ワークフローの統合まで、すべてはボルチモアコミュニティへの情報提供の質向上に貢献するためだ。
ガンギュリによれば、Arc XPはこのミッションを支えるうえで今後も重要な役割を果たしつづけるという。
「Arcは我々のあらゆる活動の中心です」。「インフラ全体がArcを基盤に構築されており、読者が最初に体験するサービスもArcを通じて提供されます。エコシステム内にはArcを補完するツールが多数存在しますが、それらはArcと連携して機能しなければなりません。Arcこそが心臓部なのです」。
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