動画・音声コンテンツ最前線:メディアにもたらす付加価値とは?(2019/10/16)

こんにちは。キメラです。このnoteは弊社のニュースレターで過去に配信した記事を再編集したアーカイブです。ニュースレターではパブリッシャーの方々に向けて国内外の注目ニュースをご紹介するほか、キメラの最新動向を隔週でお届けしています。最新号を受け取りたい方は、ここから登録できます。

1.動画・音声コンテンツの最前線

世界的に、動画・音声コンテンツへの注目が年を追うごとに高まりつつあります。それぞれの動向を把握できるコラム記事と、国内外パブリッシャーの関連ニュースを紹介します。

<動画コンテンツ>

5G時代の到来を目前に、動画はデジタルコンテンツを語る上で欠かせないトピックです。海外パブリッシャーにおいては、メディアブランドを生かしたリッチな動画コンテンツの活用が進んでいます。

The Guardian(英文リリース)やBuzzfeed(英語版) のように自社コンテンツとして配信している例に加え、広告メニューとして高い付加価値を生んでいる成功事例が出てきました。

カナダ発のデジタルメディアVice Mediaは、2018年9月に動画広告の提供を開始し、年末までにグローバルの総収益のうち動画収入の割合が20%を超える見込みとのこと。ブランドセーフティを全面に押し出すとともに、プラットフォーム横断で広告をパッケージ販売したことが奏功したようです。

パブリッシャ―のHearstは、リッツ・カールトンの世界展開キャンペーンに映画ディレクターを起用し、撮影した動画を地域とプラットフォームを横断して配信しています。組織改編の成果もあって、グローバルのデジタル広告収益は高級品業界のマーケティング案件を中心に前年比で2倍に増加したそうです。

<音声コンテンツ>

続いては音声コンテンツについてです。国内外の音声市場を、データや事例ともに現状を分かりやすく整理しているのが以下の電通報の記事です。

音声コンテンツがストリーミングサービスやホームスピーカーの普及によって存在感を増してきていることが伺えます。

そして、今年の音声コンテンツの話題をさらったのは、なんと言っても米国を中心としたPodcastブームです。

上の記事は、海外におけるPodcast人気の要因や収益化の将来像を説いています。記事によれば、今や米国では過半数がPodcastを聴いたことがあり、リスナー率や番組数も昨年から2桁成長を遂げているとのこと。SpotifyによるPodcast企業2社の買収も記憶に新しいところです。記事の後半ではPodcastの収益性についても論じており、ラジオと比較したPodcast広告の収益性が高い反面、トータルの収入では成長に伸びしろを残していることを指摘しています。

日本では米国ほどのPodcastブームはまだ訪れていませんが、音声広告の市場は少しずつ拡大しています。電通は2019年3月にオーディオアド配信サービスを開始しました。直近では10月8日から、ニッポン放送がポッドキャストに配信している番組の広告枠をバナー広告のようにプログラマティック広告として買い付け可能になりました。

現状、テキストメディアが主事業の国内パブリッシャーにおいては、日経新聞社のVoicyチャンネルやDIGIDAYが翻訳記事にインタビュー音声を埋め込んでいるくらいで、音声コンテンツ配信の取り組みは初期段階にあるといえます。

デジタルメディアの付加価値向上の施策として、音声コンテンツは選択肢の一つになりえます。ぜひ海外の最新動向をウォッチしてみてください。キメラでも引き続き、ニュースレター等で情報をお届けします。

2.海外パブリッシャーの最新ニュース

前回のニュースレターではVox MediaとNew York Mediaの合併をお伝えしましたが、10月はデジタルメディアでビッグディールが続いています。

以下2つの買収案件の背景には、いずれもFacebook、Googleら巨大プラットフォームによるデジタル広告寡占への対抗意識があると報じられています。

2019年10月1日、Vice Mediaが女性向けメディアを運営するRefinery29を約400億円で買収しました。上記の通りデジタル広告収入が順調なViceですが、買収によって今まで不足していた女性向けコンテンツを強化し、さらにプレミアムコンテンツを強化していくようです。

2019年10月3日、デジタル広告のレコメンドエンジンを提供するTaboolaが、同業のOutbrainを買収すると発表しました。約1年間をかけて統合を行う見込みで、統合後の社名は「Taboola」で統一され、50カ国に20,000社以上のクライアントを抱える巨大企業になります。

海外パブリッシャーの課金手法を日本語で解説する記事も続々とリリースされました。

海外のサブスクリプションの類型は、弊社のnote記事でご紹介しています。併せてご参考ください。

3.国内パブリッシャーの最新ニュース

コンデナスト・ジャパンは、2019年10月15日から『WIRED』日本版のデジタルメディア上での有料購読プログラム開始を発表しました。会員限定記事や編集部からのニュースレター、雑誌『WIRED』日本版のPDFデータの提供などを行うとのことです。「WIRED SZ メンバーシップ(Speculative Zone=特区)」と名がつく本サービスは、社会に新しい価値を実装するためのプラットフォームとして立ち上がっており、既存メディアのブランドを生かしながらサブスクリプションを始める際のブランディング事例として注目です。

女性向けウェブメディアを運営するMERYは、読者の高いエンゲージメントを生かしてリアルイベントのマネタイズに挑んでいます。イベントの集客はメディア内の告知記事で完結しており、当選倍率が約30倍・参加率90%を超える回もあったとのことです。エンゲージメントを収益化する手法としてリアルイベントの有効性を証明する事例になるか、今後の動向が気になるところです。

また、10月初旬にはデジタル広告配信において、サードパーティCookieの無効化に対応した広告のユニーク配信サービスの発表が相次ぎました。デジタルメディアにおいても、ID発行など、自社でユーザーの行動データを収集する動きが強まるかもしれません。