by Kremi Mestanova(Chartbeat:原文)2025.09.30
トラフィックの約40%はGoogleやFacebookからのものではなく、常にサイト内部からのトラフィック、内部回遊です。サイト内にいる読者が、同じサイトの別ページへのリンクをクリックした結果です。
ソーシャルメディアからの流入の派手な急増やオーガニック検索の成果ほど注目されませんが、実際のところ内部トラフィックはページビューの最大ソースです。
さらに重要なのは、これが読者がロイヤルティを高めていく行動をしていることを示す強力なサインであることです。
ここではChartbeatの最新調査による分析でこれらをみていきます。
- なぜ内部トラフィックがサイトPVの最大ソースか
- このトラフィックがサイト内で最初にランディングする場所
- セッションとエンゲージメントを促すリファラーとデバイス
- これらのソースからの訪問をロイヤルティに導くためにできること
内部トラフィックは回遊のサイン
読者の行動がどのようなものか理解するため、まずウェブサイトのページビューのもっとも大きな要因となる流入経路を分析しました。
結果、内部トラフィックがもっとも大きなカテゴリで、ページビューの約40%を占めていました。
これは単に興味深いというだけではなく、読者がサイトに引きつづき滞在し、2ページ目を開き、積極的に探索している直接的な証拠です。つまり、これは内部回遊が実際に機能している証拠なのです。
しかし、内部トラフィックもどこからともなく現れるわけではありません。すべての内部ページビューは検索、ソーシャル、ダイレクトなどからサイトに訪問し、そこからはじまっています。
では内部トラフィックを生みだした、元の流入経路は実際どうなっているのでしょうか。その答えから、読者の意図について多くのことが明らかになり、回遊に繋げるための新たな手がかりがわかりました。
元をたどってみるとダイレクトトラフィックが倍増
内部トラフィックの元の流入経路を見てみると、ひとつが突出しました。ダイレクトトラフィックが総トラフィックの13%から25%に急増したのです。
これは重要な点です。なぜなら、ダイレクトの訪問者(URLを直接入力したりブックマークからアクセスするユーザー)は、サイトへの期待値がもっとも高いユーザー層だからです。彼らは自分が探しているものを明確に理解しています。過去にサイトを訪れた経験もあり、データが示すように再訪問する可能性がはるかに高いのです。
内部トラフィックを単一の訪問者プールとして扱うと、細かな違いを見逃してしまいます。しかし、この読者層の大部分が、直接的な期待を持って訪問するリピーターによって支えられていることを理解すれば、このようなロイヤルティの高い行動に合わせたページ最適化をはじめることができます。
流入元で異なる回遊傾向
わたしたちの調査では、ウェブサイトへのトラフィックが実際にどこからはじまるのかを深く分析しました。その結果、すべての流入元が同じように機能するわけではなく、すべてのセッションが同じように再訪問するわけではないことがわかりました。
流入元ごとのセッションあたりのページ数とエンゲージメント時間を分析したところ、内部セッションがもっとも深いエンゲージメントを示しました:セッションあたり平均3ページ、1ページあたりのエンゲージメント時間は1分を超えています。
ダイレクトトラフィックは1セッションあたり2.2ページで、エンゲージメント時間は45.2秒 – 外部リンクやソーシャルよりも長いです。
一方、ソーシャルトラフィックはもっとも低く、1セッションあたり1.4ページで、エンゲージメント時間は34.4秒です。
これは各読者層によって回遊に対するポテンシャルが違うことを示しています。ダイレクトの訪問者はよりロイヤルティの高い行動を示しますが、ソーシャルメディアからの訪問者に回遊を促すには早めのトリガーが必要です。
内部トラフィックをこのように理解すると、改善のためにどうすればいいか、考えやすくなります。
デバイスとロイヤルティがリファラーごとのセッションに影響を与える
単一の経路からアクセスしたすべての訪問者が同じ行動を取るわけではありませんが、使用デバイスの種類、ロイヤルティ、サイトリファラーごとにセッションパフォーマンスを分析すると、明確な傾向が浮かび上がります:ロイヤルティが高く、画面サイズが大きいほど、セッションが長く深くなります。
主要な流入経路のうち、デスクトップのロイヤルティの高い訪問者は、ほかの経路に比べて、セッションあたりの平均ページビュー、平均エンゲージメント時間、平均セッション時間が一貫して高い傾向にあります。
たとえば、デスクトップから検索経由でウェブサイトにアクセスしたロイヤル訪問者は、平均エンゲージメント時間が107秒、平均ページビュー数が3.5です。
一方、モバイル訪問者はエンゲージメントが大幅に低くなります。同じロイヤル訪問者がモバイルデバイス経由で検索でアクセスした場合、エンゲージメント時間は60秒に過ぎず、ソーシャル経由でアクセスした場合は平均30秒未満です。
デスクトップとタブレット端末を利用するユーザーは、モバイルユーザーに比べてより深くエンゲージし、より多くのページを閲覧し、1セッションあたりの滞在時間が大幅に長くなっています。
ロイヤルティはエンゲージメントの強力な予測要因です。ロイヤル読者は、新規訪問者よりも多くのページを閲覧するだけでなく、1セッションあたり20秒長く積極的にエンゲージしています。ロイヤルティが向上するにつれ、インタラクションの深さと質も向上します。
再訪問戦略に与える影響
では、このデータに基づいてどのように行動すべきでしょうか。まずは、この質問からはじめてください:
- 内部セッションはどのチャネルから来ているか
内部トラフィックをざっくりひとつの読者層として見るのではなく、小さなセグメントに分解しましょう。ロイヤルティの高い訪問者は主に検索から来ているでしょうか。彼らはサイトに滞在しているのか、それともすぐに離脱しているのでしょうか
- 回遊しやすいサイト設計ができているか
プッシュ通知、ニュースレター、インラインレコメンド(誘導枠)を、読者の求めるものに合わせて最適化すれば再訪問を高める効果があります
- ユーザー体験はデバイスと行動に合っているか
デスクトップユーザーはページを多く閲覧し、滞在時間が長いです。モバイルユーザーにはスキャンしやすいフォーマットと高速なページ読み込みが必要です
ロイヤルティにつながる道筋を構築する
トラフィックのパターンを理解すれば、訪問者をロイヤル読者にする、より効果的な戦略を構築できます。
発見を深める。コンテンツを読者の期待に合わせましょう。とくに検索やソーシャルメディアからの訪問者に対しては、彼らのサイト訪問の早い段階で関連コンテンツをおすすめします
一瞬の注意を捉える。ニュースレターの案内やプッシュ通知などの、摩擦がなく、ロイヤルティにつながるツールを活用し、将来の訪問につながる接点をつくりましょう
読者が実際に何をしているかを分析する。スクロール深度、エンゲージメント時間、コンテンツの種類を分析し、異なる種類の訪問者の微妙な違いを理解しましょう
回遊経路を優先する。すべての経路からの訪問者をエンゲージし続けるためリンクを適切に置きましょう
回遊はロイヤルティの第一歩
ロイヤル読者なら誰でも一度は、2ページ目を開きます。その回遊の瞬間がロイヤリティの芽生える起点です。
読者がどこからサイト体験をはじめたのか、何を求めているのか、セッションやプラットフォームをまたいでどのように行動するのかを理解すれば、読者の期待や意図に合ったよりスマートでパーソナライズされた回遊経路を作ることができ、エンゲージメントを深めることができます。
内部トラフィックは単なる最大のページビュー源ではありません。それは、発見を習慣化し、習慣を定着させるための最大の機会です。
回遊とロイヤルティのデータの詳細を掘り下げ、自社のコンテンツ戦略にどう適用できるかを知りましょう。Chartbeatのレポートをダウンロード: 内部トラフィックの解読:リサーキュレーションが発見、深さ、ロイヤルティについて教えてくれること
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Chartbeatはメディア向けに設計されたリアルタイムのウェブサイト分析と最適化のツールです。規模を問わず、60カ国以上の報道機関、ニュースルーム、Webメディアで利用されています。
- 読者のエンゲージメント向上:コンテンツに夢中になる、愛着をもつ読者をみつけましょう
- コンテンツの編集・編成キュレーションの意思決定をサポートします
- 再訪問の要因を分析し、ロイヤルユーザを増やす
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