by JACK NEARY(原文)公開日:2024.01.23
ニュースが報じられるたびに読者がリアルタイムで通知を受け取る時代に、記事が読者の関心を引きつける時間はどれくらいなのでしょうか。
それを知るために、Chartbeat社のデータ・サイエンス・チームはネットワークにある記事がページビューの大部分を集めるのにかかる時間を調べました。また記事の寿命に影響を与える要因について、主要なトラフィックソース、記事のトピック、さらには公開時間が読者に与える影響についても調査しました。
24時間ニュースサイクルの新しい意味
80/20の法則がページビューとエンゲージメントにどのように適用されるかについての調査から、私たちは記事の寿命を公開後1週間の間にページビューの80%に達するのにかかる時間と定義しています。
2022年6月から2023年2月までにChartbeatネットワーク上で公開された2700万件以上の記事を見てみると、ほとんどの記事が公開後24時間以内にページビューの80%に達し、48時間経過した時点でほとんどの記事で終わっていることがわかります。このことは記事が翌日以降もトラフィックを集め続けることを意味するものではありませんが、公開後の最適化という点で、最初の24時間がいかに重要であるかを示しています。
トラフィックソースは寿命にどう影響するか
ネットワーク全体のスケールでデータを調査することに加えて、私たちはトラフィックソース(流入経路)によって記事の寿命に顕著な違いがあるかどうか確認したいと考えました。たとえば、ソーシャルトラフィックによって盛り上がった記事は、検索によって盛り上がった記事よりも長持ちするのかどうか、などです。
私たちの調査によると、サイト内回遊(Internal)のトラフィックによって誘導された記事は、約20時間でページビューの80%にもっとも早く到達します。このような記事はトップページで大きく取り上げられるもので、過去の調査から長文のレポートよりもニュース速報やライブブログのような消化しやすい形式の傾向にあることがわかっています。外部ソース(External)による記事も完了時間の中央値が21時間で似たような動きです。
一方、ソーシャル(Social)主導の記事は26時間でページビューの80%に到達し、検索(Search)主導の記事は完了時間の中央値が36時間と最も長くなっています。このことから、ニュース速報はすでにサイトにいる読者によって素早く消費されることが多い一方で、検索エンジンのパフォーマンスに最適化された記事やソーシャルメディア上の話題の一部となった記事は寿命が長くなることがわかります。
グラフィックの解読
この記事の最初の図はヒストグラムと呼ばれます。2番目の図はカーネル密度プロットで、正規化または平滑化されたヒストグラムと考えることができます。ヒストグラムが出現回数を数え、それに従ってプロットするのに対し、カーネル密度プロットはヒストグラムを取り、曲線の下の領域を1に正規化します。これにより、各値の確率と範囲、この場合ページビューが80%で減少する可能性が最も高くなる、ということを示しています。
どんなトピックがほかより長生きするか
トラフィックソースが記事の寿命に影響するように、トピックも同様に影響します。トピック別に寿命を調べてみると、ニュース速報や時事問題に焦点を当てた記事(たとえば、天気、災害、スポーツなど)は、科学、テクノロジー、ライフスタイル、レジャーなどの深い読み物よりも寿命が短いことに驚く方はいないでしょう。たとえば、天気や災害に関する報道は、1日以内にページビューの80%を獲得するのに対し、ライフスタイルや科学に関連する記事の完了時間の中央値は34時間と36時間です。
公開時間は寿命にどう影響するか
私たちの調査によると、寿命は公開時間によってあまり変わりません。ある例外を除いて、記事は21~24時間後にページビューの80%に達します。しかし、午前4時に公開された記事の寿命の中央値はわずか17時間でした。
曜日別に見ると、日曜日に公開された記事がページビューの80%に到達するのに必要な時間は22時間と最も短く、金曜日に公開された記事が寿命に到達するのに必要な時間は29時間と最も長くかかります。
デバイスとロイヤリティについて
読者が記事の閲覧に使用するデバイスによって記事寿命が受ける影響はごくわずかです。デスクトップとモバイルの両方で読まれた記事は、24時間でページビューの80%に達し、タブレットでも23時間でほぼ同じです。
読者のロイヤルティ(サイトへの訪問頻度)別に記事寿命を見てみると、ロイヤルティが高い読者の中央値は17時間で、リピーターは26時間、新規読者は30時間となっています。先ほどサイト内回遊(Internal)で見たように、ロイヤルティが高い読者はより頻繁にサイトを訪れるため、記事公開後すぐに記事を読む可能性が高くなります。
記事寿命についてのポイント
トピックやトラフィックソースのようないくつかの要因が記事の寿命に顕著な影響を与える一方で、デバイスのタイプのような要因はそれほど影響しません。記事がどこでトラフィックを得るか、どのデバイスで読まれるかに関わらず、この調査から得られた最も重要な発見は、平均的な記事が最初の24時間でページビューの80%を獲得するのであれば、パブリッシャーはコンテンツの測定と最適化を明日まで待つ余裕はないということです。リアルタイムの指標を見て調整を行うために翌日まで待つことは、彼らの努力がせいぜい20%の読者に影響を与えることを意味し、これはデータサイエンスの理解の助けは必要ない統計となります。
調査から得られたほかのポイント:
- 検索による記事の寿命は最も長く、サイト内回遊による記事の寿命は最も短い。
- ニュース速報はライフスタイルやサイエンスよりも早く消費される。長続きするトピックの記事を多く取り入れることには利点があるかもしれないが、適切な編集による匙加減を維持することが重要であり、読者を追いかけるために1つの戦略にすべてを傾けることはない。
- 記事にはサイト外での寿命もある。選挙のようなイベントでは、検索からのページビューは選挙の夜に上昇しピークに達し、その後急速に落ち込むが、ソーシャルからのトラフィックはイベント後の数日間も高いままであることが分かっている。Tubular Labsのソーシャル動画調査でも同様のロングテールが見られ、読者がサイトを離れた後にも読者を惹きつけるチャンスがあることが再認識できます。
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