by NANCY LEE(原文)2024.03.21
Chartbeatは今年、読者収益とサブスクリプションモデルのリサーチに没頭し、データ分析、過去の傾向の比較、事例からのインサイト抽出などさまざまなことに取り組みました。
ですが、実用的な読者収益ソリューションを生み出すには、情報源であるパブリッシャーに働きかけるのが一番でした。
パブリッシャーの収益に関するペインポイント、つまりコストをかけても解決したい悩みからソリューションを探るなかで、私たちは編集やコンシューママーケティング、オーディエンス開発、メンバーシップ管理、データサイエンスと分析、イベントマーケティング、ユーザーリサーチ、製品管理など、あらゆる役割の方々とともに時間を過ごしました。
ここでは400時間以上を費やしたこれらの調査の結果として、私たちが得た知見を紹介します。
現在のインフラは有料モデルの期待感にマッチしていない
パブリッシャーが自社のサービスやコンテンツを効果的に販売するには、ユーザーセグメンテーションのためのインフラが不可欠であることがわかりました。ですが私たちはこれまで何度も何度も、広告収入を増やすために構築された中核インフラを目にしてきています。こういうケースでは、ユーザーとの関係はプラットフォームやリーチよりも蔑ろにされるうえ、ユーザデータは旧来のシステムに縛られたままです。
パブリッシャーにとって、システムをモダンなものに変え、統合と一元化を進めることは極めて重要です。すべてがひとつの仕組みで動けば、チームの連携を強くすることができます。
チャネルを変える必要はない
メールはユーザーを惹きつける効果的な方法のひとつです。ニュースレターやメルマガと呼んだほうが自然かもしれません。しかし、出版業界はリテールなどの他業界に比べて導入が遅れています。
メールが復活したのはコンバージョンとリテンションの仮説検証を効率よくできるからです。読者にとってメール登録するリスクはほとんどなく、見返りは多くあります。なので、その登録者は数万に上ることもあります。ですが、このようなメーリングリストのセグメンテーションは手作業で行われることが多く、コンテンツは骨が折れるほど入念に作成されがちです。
仮設検証の実験を生産的なものにするために、自動化されたサービスを使い、多様なユーザーを反映したダイナミックなリスト(任意のルールに従って自動更新されるメールアドレスのリスト)を作成しましょう。リテールマーケティングを見習うのです。
目線を合わせて時間(と健全性)を取り戻す
業界でよく「better alignment」という言葉を聞きますが、実際のところ、はっきり理解されていません。その結果、コンバージョン追跡が組織内の各チームによってそれぞれ別の方法で行われ、バラバラになってしまいます。そこで一元化されたレポートが、それぞれのチームメンバーが読者収益のために果たす役割を理解するための鍵になります。それから、共通の戦略に向けて協力し合うことができるのです。
時間は貴重です。コンバージョンの追跡や解釈に費やす時間を減らせば、プロダクトの改善にもっと時間を集中できるようになります。
自分のサイトの達人になる
テクノロジー企業はデータ収集に気を配り、莫大なリソースを投資しています。対照的に、出版社はデータがどのように管理され、統合され、保護され、利用できるようになるか、これまで考えてきませんでした。データ活用の実践経験に大きな差があります。
一貫性があり理解しやすいデータは、ビジネス戦略を成功させるための土台となります。データガバナンスは出版社のコアコンピテンシーではありませんでしたが、会社に影響を与える意思決定を迅速に優先順位付けする能力に直接影響します。データガバナンスを改善すれば、パブリッシャーもすぐにトレンドを掴み、行動に移すことができるでしょう。
コンテンツ戦略に没頭する
コンテンツのアトリビューションは、CMSやほかの内部ツールから切り離されています。コンバージョン(またはリテンション)のためのコンテンツ戦略の策定も、編集者の直感とデータが何を伝えているかの理解に依存しています。パブリッシャーがブランドをよいものにし、ユーザーに関心をもってもらえるプロダクトを作りつづけるなかで、ROIの証明にはコンテンツマーケティングのアトリビューションが不足しています。
今こそ適切なアトリビューションモデルを構築して、編集とマーケティング両方への投資をサポートするときです。コンテンツ戦略をROIにマッピングすることに洗練しているリテールやほかの業界のマーケターと同じように、パブリッシャーもアトリビューションモデルから情報を得て活用できるはずです。アトリビューションは、編集とマーケティングチームに割かれた投資を活用する(そして正当化する)ために極めて重要です。
プロダクトと統合したエディトリアル
これまでも伝えてきたように、大手のパブリッシャーでは編集の戦略とプロダクトの戦略を別物としない、大きな変化が起きています。
プロダクト戦略がもっとも成功するのは、エンドユーザーのニーズに実際に応える結果を目指して、複数のチームから力を結集できるときです。しかし、これには文化的な変化が必要で、多くのパブリッシャーはまだそれに取り組んでいません。協調的な意思決定には、競合するビジネスニーズと既存の予算目標の間でバランスを取る必要があるのです。私たちは調査の間、絶えずこの課題を目にしてきました。当然のことながら、文化の変革はあらゆる組織にとっての課題です。
サブスクリプションについて、私たちがこれまでに学んだこと
調査の結果、ポイントは「部門横断的な組織と収益目標の結びつけ」というおなじみのものになりました。アトリビューションにせよ、戦略にせよ、共通するのは、パブリッシャーを何十年も導いてきた直感に情報を与えるデータです。
パブリッシャーは文化的な進化をしつづけるでしょう。鍵になるのは複合指標かもしれません。組織の全員を団結させ、読者収益に向けてそれぞれが役割に取り組み、その目標を実行可能なデータでサポートする。そうすれば、いい結果が得られる可能性が高くなります。少なくとも、結果を基にした取り組みはできるでしょう。
この記事の原文は2019年6月に公開されたものです。
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