by MAYA JAAFAR(原文)2024.04.17
グローバルパブリッシャーやクリエイターはメディアのトップページに訪れる読者をより惹きつけるためChartbeatのヘッドラインテスティング(Headline Testing・記事タイトルのA/Bテスト)を利用しています。苦労して作ったコンテンツへの入り口になるトップページは、実験的な試みだけでなく質の高い読者とのインタラクションを増やすための大きなチャンスであるとChartbeatは考えています。
私たちはより質の高いインタラクションを増やす手段として、記事タイトルのテストと読者エンゲージメントの強化との関連性をさらに追求するため、下記についてさらに深く掘り下げる価値があると考えました。
- トップページでパフォーマンスが高い記事タイトルのデータ分析
- 「より多くの読者を惹きつけるために何が必要か」という重要な問いに、記事タイトルの最適化を役立てる方法
- 記事タイトルのテストに適した組織のあり方
まず、そもそもなぜ記事タイトルをテストするのか?
Chartbeatのデータによると、テストを実施するだけで62%の確率でより多くの読者を記事に誘導することができます。テストをするのとしないのとには、かなり大きな違いがあります。なぜでしょうか。
別バージョンの記事タイトルが「勝利」した場合、クリック数は平均78%増加します。しかしこれはクリックだけを増やして読者と記事の深いエンゲージには至らない質の低いクリックになるケースもあるため、クリック後のエンゲージ時間も考慮します。すると、記事タイトルのA/Bテストは71%も質の高いクリック(Quality Clicks: エンゲージ時間が15秒以上のクリック)を生み出すことがわかります。エンゲージメントの向上は読者に恩恵があるだけでなく、ロイヤルティを構築する大きなチャンスでもあるのです。
Chartbeatの記事タイトルのA/Bテスト機能であるヘッドライン・テスティングは、あなたのサイトのトップページですぐに行うことができます。改善が必要な記事タイトルを視覚的にマーカーで示し(下のスクリーンキャプチャを参照)、別のダッシュボードを開くことなくその場ですぐにテストを実行できるのです。これはトップページ、一覧ページ、記事ページ用のオーバーレイ機能のヘッズアップディスプレイ(HUD)を使って行われます。目標は、エンゲージメントを高める小さな調整のために、あなたのキュレーションのリアルタイム指標にしてもらうことです。
トップページで成功する記事タイトル
トップページで成功する記事タイトルの構造を理解するために、約10万件のA/Bテストと25万件の個々の記事タイトルの言語的特徴を分析したところ、ある特定の単語がパフォーマンスに影響していることがわかりました。
たとえば、"what "や "where "のような疑問詞、数字、引用、最上級語(bestやworstなど)は、読者が15秒以上その記事にエンゲージする質の高いクリックの可能性を高めます。対照的に、疑問符や時間言及(tomorrowやSaturdayなど)を使用すると、エンゲージメントが低下する可能性があります。
ただし、ひとつ注意点があります。読者とコンテンツは固有のものです。データはより良い記事タイトルを作るための参考にはなりますが、指標はあくまであなたのニュース判断を補うためのものであり、それに取って代わるものではありません。これらの調査結果はあなた自身の実験の出発点として使用することをお勧めします(そして、この調査は英語の記事で行われたことにも注意が必要です)。
これらのヒントを実際に試してみる
では、このヒントはテストにどう応用できるでしょうか。データに基づいたテストは、テストしたい記事タイトルを特定することからはじまります。まず、もっともインパクトがあるだけでなく、限られた時間で最大限に効果を出せる記事を選ぶことが重要です。これらはテストの重要なヒントです:
- トラフィックの多いエリアでテストする
もっとも多くの読者が目にする記事をテストすることで、もっとも大きなインパクトが期待できます。トップページの1,600ピクセルより下(つまりファーストビューより下)のエリアでテストしても、必要な結果を得ることはできません。モバイルから直接アクセスする読者が増えていることを考えれば、トップページの最適化はさらに重要です。
- アンダーパフォーマーを最適化する
これはChartbeatがなくてもできます。アナリティクスで全体的な不振を指摘することができますが、それは読者がもつ期待と実際のタイトルにずれがある(読者の期待とタイトルが表現する情報に不一致がある)ためかもしれません。Chartbeatがあれば、ヘッズアップディスプレイを利用して読者とタイトルのずれが生じている部分を正確に把握することができます。
- 価値の高いジャーナリズムに時間を割く
インパクトのあるジャーナリズムと読者の期待のずれを修正することはとくに重要です。ニュース速報はクリックを増やす傾向がありますが、より深く、調査的なジャーナリズムの記事ではそれが難しくなります。このような記事の制作には多くの時間を費やしているでしょうから、もっとも魅力的なタイトルにするためのテストにも同じくらいの時間を費やす価値があるのです。
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テストする場所を決めたら、Chartbeatユーザーのための追加ヒントをいくつか紹介しよう:
- 定期的にテストし、実用的な気づきを得る
Chartbeatのヘッドライン・テスティングには、同時実行数の制限がありません。常に読者の行動から学ぶ機会を作ることができます。Chartbeatの調査によると、5つのバリエーションを用意したテストで勝利したタイトルは、平均的なタイトルよりもCTRが50%以上高いのに対し、標準的な2つのバリエーションのA/Bテストでは23%の効果に留まります。つまり、テストする選択肢は多ければ多いほど良いということです。
- 早まってテストを止めない
テストの開始後すぐに1つのタイトルがリードを奪うと、そこでテストを止めたくなるかもしれません。しかしテストの途中で潮目が変わり、最初のリードがなくなるケースをよく見かけます。読者層と同じように結果も多様になる可能性があるため、テストは最後までやり通しましょう。
- 結びつきがタイトルの共通性を指し示すこともある
2つの素晴らしいタイトルが同じようなレベルのエンゲージメントを集めている可能性があります。同じような結果が頻繁に出る場合は、テストしている記事タイトルが似すぎているのかもしれません。
簡単なヒント:ヘッズアップディスプレイのポップアウトメニュー、または下部の「Headline Testing Results」を選択するか、Chartbeatの管理画面・左側のナビゲーションから最適化タブの「Headline Testing」を選択すると、ヘッドラインディスプレイからヘッドラインテストの結果を見ることができます。テクニカルサポートについては、ヘッドラインテストガイドをご覧ください。
- テストする読者の特徴に注意する
Chartbeatのデータによると、トップページの読者は通常、ロイヤルティが高く、訪問は頻繁で、そのページに何を期待できるか知っているのに対し、ソーシャルからの訪問者は新規の読者で、最新情報に興味をもっている傾向があります。両者は異なる記事タイトルを好む可能性が高いため、読者に応じてタイトル戦略を検討しましょう。
- 効果的な戦術を把握する
何がうまくいっているかモニターすることが重要です。今回の調査結果を出発点にテストを行い、実際のエンゲージメントにつながった記事タイトルを記録して、この調査結果が自分のメディアの読者にに当てはまるかどうかを確認しましょう。
Chartbeatのユーザーは、CSVでデータをエクスポートすることで、テスト結果をさらに詳しく分析することもできます:
Summary Reportは、あなたのサイトに最適な記事タイトルのバリエーションの数、およびもっとも多く・もっとも優れたテストを実行しているユーザーまたはセクションに関する洞察を提供します。
Variant Breakdown Reportは、実行したすべてのテストにおいて、すべての記事タイトルのバリエーションがどんなパフォーマンスを示したかの内訳を提供します。このオプションは、文字数や言語など、より良いパフォーマンスを出すタイトルの特徴を掘り下げる方法だと考えてください。
ヘッドライン・テスティングの効果は使い方次第
ヘッドライン・テスティングは、どれだけ組織的に活用されるかで、その効果が変わってきます。チームが協力してヘッドライン・テスティングに取り組んだ場合、エンゲージメントデータだけでなく、組織の文化にも改善が見られました。
これまでも北米ユタ州のDeseret Newsがヘッドラインテストをゲーム化し(上図)、平均クリック率を45%増加させた方法などいくつかの例を紹介してきました。その他はブログで見ることができます。
ヘッドライン・テスティング戦略を成功させるポイント
Chartbeatのデータから、ヘッドライン・テスティングはトップページを読者がより深く読むための重要な入り口として強固なものにするもっとも効果的な方法の一つであることがわかりました。その方法をまとめます:
- テストが必要な場所を特定する
もっとも知識が必要とされる記事タイトルの選定にあたり、時間を最大限に活かしましょう。Chartbeatユーザーのためにヘッズアップディスプレイはもっとも実用的なデータをトップページや記事ページに表示できるように設計されています。
- 視聴者を知る
テストするタイトルを特定したら、特定のタイプのコンテンツに対するライティング方法が、万能のアプローチとは限らないことを考慮する必要があります。長期的なタイトル最適化戦略の参考となる、より大きなデータセットが存在するように、頻繁にテストを行うことが重要なのはこのためです。
- テストを成功させる
ワークフローの一部となるまでは、テストの効果を確認するのは簡単ではありません。読者を一番よく理解しているのはあなたのチームですので、このテストが良い判断の妨げにならないようにしましょう。
- コラボレーションが鍵
別の部署やほかのチームとの意見交換・ブレストから、テストの遅れや惰性を防ぐために行われるプロセスのゲーム化まで、コラボレーションのあらゆる利点を目にしてきています。
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Chartbeat(チャートビート)は世界中の何千ものパブリッシャーから信頼されている、業界をリードするエンゲージメント分析プラットフォーム。デジタルメディアのコンテンツがどう読まれたのかを分析できる。
The New York Times、The Washington Post、Netflix、CNNなど、世界70カ国・6万を超えるメディアで導入され、日本では日本総代理店として株式会社キメラがパブリッシャーへChartbeatの提供とサポートを実施している。もっと詳しく
Chartbeatの特徴
- パブリッシャーのエディトリアルメディアのために作られている
- 「どのくらい多く読まれたか」だけでなく、「どんな文脈で読まれたか」「どれほど熱心に読まれたか」を分析できる
- 瞬間的なバズや炎上によるPV増だけでなく、読者が定着しているコンテンツを発見・評価できる
- リアルタイムで読者の反応を分析することで、トップページや記事一覧を効率よく編成できる
- Google DiscoverおよびYahoo!ニュースからのリアルタイム流入計測に対応している
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