by JACK NEARY(原文)2024.03.05
あるページに訪れた人の数と、その記事から同じサイト内の別の記事に移動した人の数を比較するリアルタイムの分析指標、それがリサーキュレーションです。訪れた最初の記事を通過した読者の割合とも言えます。日本語では回遊と表したほうが馴染みがあるかもしれません。
1回の訪問で複数の記事を読む読者もいますが、ほとんどの読者はサイトでもう1記事読むためにさらなるひと押しが必要です。実際、Chartbeatのネットワークでは89%の読者がひとつの記事を読んだだけでサイトを去っています。一見がっかりする数字かもしれませんが、エンゲージメント戦略におけるリサーキュレーションの重要性を物語っているとも言えるでしょう。
リサーキュレーションについて詳しく知るため、いつものようにChartbeat全体のデータをサイトのカテゴリ、デバイスの種類、ロイヤルティ(訪問頻度)ごとに分類し、それぞれ傾向がどう変化するか分析しました。結果は以下の通りです。
サイトカテゴリ別にみるリサーキュレーション
サイトのカテゴリ別にデータを分析すると、一般的なニュースサイトのリサーキュレーション率(回遊率)は、スポーツや金融など何かに焦点を絞った専門サイトよりはるかに低いことがわかります。
これに驚きはありません。ニュースサイトは、読者がニュース速報のような個別のできごとで訪問する傾向が強く、特定のトピックの深い知識を求める読者はニッチサイトで多くの時間を費やすのですから。
2022年5月から9月までの期間でリサーキュレーション率がもっとも低かったのは「アート&エンターテインメント」のカテゴリで9.8%、もっとも高かったのは「金融」で16.8%でした。「スポーツ」と「ニュース&メディア」はその中間でそれぞれ12.8%と11%です。
デバイス別にみるリサーキュレーション
デバイスによる体験の違いもリサーキュレーションに大きな影響を与えます。たとえば、モバイルのページビューはChartbeatネットワークのトラフィックのなかでもっとも大きな割合を占めますが、その読者のリサーキュレーション率はもっとも低い9%に留まります。デスクトップはトラフィック流入量でみればあまり人気がないものの、リサーキュレーション率はモバイルの2倍以上となる19%を占め、より効果的にリサーキュレーションを生み出します。タブレットはトラフィック全体のごく一部に過ぎません。しかし、リサーキュレーション率は21%ともっとも高くなります。
ロイヤルティでみるリサーキュレーション
読者のロイヤルティ別にリサーキュレーションを調べると、サイトに対するロイヤルティ(訪問頻度)が高い読者ほど、1回の訪問でより多くのコンテンツに触れることがわかります。この傾向から、読者をロイヤルティファネルの先へと進ませることは、トラフィックの増加と収益の両方に大きな影響を与える可能性があるのです。
少なくとも1日おきにサイトを訪れるロイヤル読者(Loyal)のリサーキュレーション率は当然ながらもっとも高く、16.6%です。月に1回以上サイトを訪問してはいるもののロイヤルほどではない再訪問の読者(Returning)は14.1%、新規訪問者(New)は9.1%ともっとも低くなります。
読者にさらなるコンテンツの発見を促す
読者がサイトのコンテンツに触れる時間が長ければ長いほど、そのサイトを再訪する可能性は高くなります。Chartbeatのリサーチが示すように、焦点を絞った専門サイトは一般的なニュースを扱うサイトより、簡単に読者により多くのコンテンツに触れてもらうことができます。しかし、コンテンツの幅広さに関係なく、すべてのパブリッシャーはリサーキュレーションを改善するために行動できます。私たちが推奨するいくつかの戦術をお伝えします。
- 深さと質をアピールする。コンテンツ内の適切な場所に設置された関連リンクは、そのサイトのより深いコンテンツ体験を促し、読者にサイトを離れるのとは違う選択肢を提供する効果的な方法です。
- 戦術をカスタマイズする。エンゲージメントデータ、リファラーデータ、オーディエンスセグメントデータを使ってサイト上の関連リンクの質を向上させることで、読者ごとにコンテンツ体験をカスタマイズすることができ、サイトのコンテンツを深く体験してもらえる可能性が高まります。
- 読者が今いる場所で出会う。モバイルでは読者がデスクトップやタブレットほど簡単に新しいコンテンツに移動するのが難しくなる可能性があります。できる限り、モバイル体験を直感的なものにしましょう。
- 曖昧なリンクの時代は終わった。わかりにくいリンクは読者が安心してクリックすることを妨げます。行き先とあなたのコンテンツに時間を費やすことで得られる価値を明確にしましょう。
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