by CHARTBEAT STAFF(原文) 2023-07-24
Chartbeat社が発表した2022年版の「最も読まれた記事(The Most Engaging Stories)」のランキングは、トランプ大統領と新型コロナウイルスという過去2年間を支配したストーリーが影を潜め、より幅広いトピックがその空白を埋めた1年だったことを反映しています。エンゲージメントから読み取れるように、読者は、ロシアのウクライナ侵攻、エリザベス女王の崩御、米国で続く銃乱射事件の惨劇といったストーリーに最も多くの時間を費やしました。
しかし、今年最もエンゲージメントの高かったストーリーは、それらのカテゴリーのどれにも当てはまりませんでした。「最も読まれた記事」の栄冠は、ESPNのTom JunodとPaula Lavigneによる調査報道「Before Jerry Sandusky, Penn State football had another serial sexual predator. This is the untold story of his crimes and the fight to bring him to justice(邦訳:Jerry Sandusky以前にも、ペンシルベニア州立大学フットボール部には性犯罪者がいた。知られざるその悪事と彼を裁くための戦い)」に輝きました。2番目にエンゲージメントの高かったストーリーは、BBCによるエリザベス女王の追悼記事でした。
また、トップ10に4本、全体では36本がランクインしたCNNの存在感の大きさも伺えます。CNNの報道力と読者を惹き込む手腕は「What does Putin want in Ukraine? The conflict explained(邦訳:この紛争が示す、プーチンがウクライナに望むこととは?)」や「This traffic stop between a Black man and a White state trooper began with fear. It ended with a surprising act of kindness(邦訳:恐怖から始まった黒人男性と白人警官の交通取り締まりは、意外な親切で終わった)」などの記事からも伝わってきます。
2,800万を超えるコンテンツから選ばれたこのランキングは、世界中で発揮された優れたジャーナリズムを称えるものであり、読者である私たちが時間を費やしたストーリーの記録でもあります。以下に、今年私たちを魅了したトピックと、私たちがどのようにリストを作成したかを紹介します。
2022年に最も読まれた記事トップ10
- ESPN | Before Jerry Sandusky, Penn State football had another serial sexual predator. This is the untold story of his crimes and the fight to bring him to justice.
- BBC | Queen Elizabeth II has died
- Politico | ‘Yes, He Would’: Fiona Hill on Putin and Nukes
- CNN | What does Putin want in Ukraine? The conflict explained
- Chicago Sun-Times | Horror on the Fourth: Suspect in custody after 6 killed, dozens wounded at Highland Park Fourth of July parade
- Politico | Supreme Court has voted to overturn abortion rights, draft opinion shows
- CNN | This traffic stop between a Black man and a White state trooper began with fear. It ended with a surprising act of kindness
- BBC | Your complete guide to the Queen’s funeral
- CNN | Uber driver who got a hotel room for teen passenger after being stuck on I-95 gets offered a new job
- CNN | Alabama corrections officer who escaped with inmate has died in hospital, sheriff says
- 「最も読まれた記事」の全リストを見る:The Most Engaging Stories
2022年に最も読まれたトピック
ウクライナとロシア
個性的な記事がいくつか上位にランクインしたものの、ウクライナ戦争は2022年に抜群に関心を集めたトピックでした。今年最もニュースになった出来事を分析したところ、戦争に関する記事が全体の4分の1以上を占めたことが分かりました。読者数は2月の最初の侵攻時のピークから鈍化していますが、今なお続く戦争のニュースは毎日更新され続けています。
銃と暴力
ハイランドパークからユバルデ、コロラドスプリングス、そして地球の裏側での安倍晋三氏の暗殺に至るまで、銃による暴力はまたしても年末恒例の「今年最も読まれた記事リスト」に大きく取り上げられています。これは、良いニュースも悪いニュースも読者に伝える上で、ジャーナリストが直面する辛いテーマを思い起こさせるものといえるでしょう。
英国王室
エリザベス女王の崩御、チャールズ国王の即位、そしてハリー王子とメーガン・マークル夫妻に対する詮索など、2022年の英国王室は報道に事欠きませんでした。女王の死をめぐる2つの記事がトップ10にランクインしています。
どのように最も読まれた記事を選定したか
定量的な要因
Chartbeat社のデータ・サイエンス・チームは、2022年に公開された2800万以上のコンテンツを分析しました。コンテンツの総消費時間は3610億分以上にのぼります。上位1,000の記事を総エンゲージ時間(合計滞在時間)で並び替え、個別にレビューと分類を行い、以下に示す一連の定性的基準に基づいて100記事に絞り込みました。
総エンゲージ時間の算出方法
総エンゲージ時間とは、訪問者が積極的にページを読み、相互作用した時間の合計値です。
定性的な要因
選定基準を決定するために、Chartbeat社内の読者およびキュレーター(多くはジャーナリストまたは編集者としての経歴を持ちます)からなる部門横断的なチームを結成しました。総エンゲージ時間にとどまらず、このリストが独創的な報道を称えるものであることを保証したいのです。さらに悩ましかったのは、リストに含めないストーリーの基準です。
結果として、以下のようなものを除外しました:
- 48時間以上にわたり、複数のニュース群でコンテンツを組み立てたライブブログ形式の報道
- オリジナルの報道を伴わないアップロードされた文書のまとめ
- 主にソーシャルメディアのリポストや画像で構成された記事
- スポーツのスコア、ボックススコア、各リーグのランキング
- 報道を含まない、および・または年間を通じて継続的に更新されるクイズやインタラクティブコンテンツ
※編集部注:エンゲージメントデータは2022年12月15日に集計されたものです。あらゆるニュース速報の影響を考慮に入れるため、データの集計日以降も引き続きトラフィックデータを精査します。
Chartbeat(チャートビート)は世界中の何千ものパブリッシャーから信頼されている、業界をリードするエンゲージメント分析プラットフォーム。デジタルメディアのコンテンツがどう読まれたのかを分析できる。
The New York Times、The Washington Post、Netflix、CNNなど、世界70カ国・6万を超えるメディアで導入され、日本では日本総代理店として株式会社キメラがパブリッシャーへChartbeatの提供とサポートを実施している。もっと詳しく
Chartbeatの特徴
- パブリッシャーのエディトリアルメディアのために作られている
- 「どのくらい多く読まれたか」だけでなく、「どんな文脈で読まれたか」「どれほど熱心に読まれたか」を分析できる
- 瞬間的なバズや炎上によるPV増だけでなく、読者が定着しているコンテンツを発見・評価できる
- リアルタイムで読者の反応を分析することで、トップページや記事一覧を効率よく編成できる
- Google DiscoverおよびYahoo!ニュースからのリアルタイム流入計測に対応している