by JACK NEARY(原文) @August 31, 2023
かつて、コンテンツの有効性はページロードの先に何があるかに関係なく、主にページビューで判断されていました。Chartbeatのミッションの1つはパブリッシャーをかつてのこの指標からエンゲージメントに焦点を当てたものに移行させることです。なぜなら、クリック数はどれだけの訪問者がコンテンツに関与する機会を得たかを知ることはできますが、クリック後の行動こそが訪問者がロイヤルユーザになるかどうかの真の指標だからです。
トラフィックの流入元も無関係ではありません。前回のブログで読者がどのようにコンテンツを発見してきたかより深く理解するため、過去3年間のトラフィックパターンを分析しました。
ここでは、同じ期間のエンゲージメントに焦点を当て、それがトラフィックにどのように影響されるのか(またはされないのか)を見ていきます。結局のところ最も効果的な戦略は、読者の行動が発見とエンゲージメントを経てロイヤルユーザーへと至るその一連の流れを理解することでした。
トラフィックとエンゲージメントの分岐点
過去3年間のトラフィックの傾向を調査した結果、全体のトラフィックは2020年の大きなスパイクの後、2021年には減少したものの、パンデミック前のレベルを大幅に上回っていることがわかりました。2022年は2019年のニュースサイクルの安定性に戻る傾向が大きいと予想されますが、全体的なトラフィックは過去2年間の成長をある程度維持するとも予想されます(訳注:このレポートの原文発行は2022年3月)。
これはエンゲージメントにとって何を意味するのでしょうか。同じ3年間の平均エンゲージメント時間に焦点を当ててみましょう。その際、Chartbeatのエンゲージメント時間の測定方法と、Google Analyticsのようなほかのツールで見られるより伝統的なページ滞在時間の測定方法との違いに気をつけてください。主な違いは、エンゲージメント時間は読者がページに積極的に関与している時間、例えばスクロール、クリック、マウスを動かしている時間を測定するのに対し、ページ滞在時間は、読者が現在開いているタブであるかどうか、あるいはまだコンピュータの前にいるかどうかに関わらず、単にページが開かれている時間を測定することです。
一見すると、四半期ごとに同じようなパターンを持つ2つの年があり、真ん中には異常値が1つあります。よく見てみると、2019年は第1四半期にエンゲージメントが上昇し、その後、年末にかけて着実に低下する典型的なパターンを辿っています。2020年も同じパターンで、エンゲージメントは前四半期の終盤より再び上昇に転じましたが、第2四半期は減少するどころか、平均エンゲージ時間が3年間を通じての最高を記録しました。
高いトラフィックが必ずしも高いエンゲージメントを生むわけではありませんが、同じ時期にトラフィックが急上昇したことがわかっていれば、COVID-19の報道がはじまった時期にエンゲージメントが同じように急上昇しても不思議はありません。世界的な話題とそれが何なのか知りたい読者の需要が噛み合い、更新されるライブブログと感染状況を解明しようとする長編記事の組み合わせを通じて、読者の関心を引き付けました。
トラフィックは2021年もその勢いを維持しましたが、エンゲージメントはパンデミック以前のお馴染みのパターンに戻りました。1月から10月にかけて、平均エンゲージメント時間は7%以上減少しました。
同期間のトラフィックの分析と合わせると、クリック数が増えれば読者の関心を引く機会は増えますが(2020年はそうだった)、新規読者のロイヤリティを高める戦略がなければ、トラフィックがそのまま継続的なエンゲージメントにつながるとは限らないことがわかります。
地域別のエンゲージメント
トラフィックのトレンドが世界各地で異なるように、エンゲージメントも地域別に見ると世界的なトレンドが顕著な地域とそうでない地域があります。エンゲージメント時間に関しては過去3年間、世界平均が33秒に達したことはありませんでしたが、ラテンアメリカがこの記録を上回りました。
最高34.9秒のラテンアメリカは世界平均に近い32.4秒の北米を上回りました。アジア・太平洋地域は29.8秒、ヨーロッパ・中東・アフリカ地域は28.9秒と、エンゲージメントが低くなりました。
アジア・太平洋地域は、2019年以降、平均エンゲージ時間が-9%と最も大きく減少しました。ラテンアメリカと北米は約+1%と小幅な伸びとなっています。
調査の要点
記事を開いた読者の半数近くが最初の15秒で離脱するのであれば、コンテンツが実際にどうエンゲージするか理解するために、ページビューよりも深い部分に目を向ける必要があります。今後の戦略を評価する際にはこれらを考慮してください:
- トラフィックだけではエンゲージメントにつながらない。2020年第2四半期以外ではエンゲージメントレベルはトラフィックの増加に追いついていない。
- エンゲージメントは地域やサイトの規模によって異なる。ラテンアメリカのエンゲージメント時間は世界平均を上回ったが、北米、アジア・太平洋地域、ヨーロッパ・中東・アフリカはいずれも下回った。
- エンゲージメントの伸びが緩やかなパブリッシャーにとっても、今は新しいコンテンツフォーマットや見せ方の実験をやめる時期ではない。エンゲージメントを維持する方法はサイトごとに異なるが、見出しや画像のテストのような最適化ツールはエンゲージメントを向上させ、ロイヤリティの増加につながる意思決定に必要なデータを示すことができる。
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