by JACK NEARY(原文) 2023-07-24
ここ数年コンテンツの企画・制作に携わっている人なら誰でも、数え切れないほど戦略を進化・適応させなければならなかったと証言してくれるでしょう。リアルタイムな分析はその時々の意思決定に役立ちますが、将来の計画を立てる際には、複数年のデータを比較し俯瞰することで、最善の道のりを描くために必要な示唆を得ることができます。
読者が最近どのような行動をとっているのか、そしてこれらのパターンやトレンドがこの1年で何を意味するのかをよりよく理解するために、2019年、2020年、2021年の月次トラフィックデータを分析しました。この期間のトラフィックは変動が激しいため、1年分の調査では重要な文脈が抜け落ちてしまいます。この期間全体を検証してはじめて、トラフィックのトレンドがどこに向かっているのかが見えてきます。
トラフィックのトレンドは安定傾向に向かっている
Chartbeatが集計している数十億のページビューを月ごとに分析すると、3年間で全く異なるトラフィックの傾向があったことは明らかです。パンデミック前の最後の年である2019年は比較的安定しています。ニュースになるような出来事もあったものの、その後の2年間と比較するとトラフィックの突出は顕著に少ないことがわかります。
一方、2020年は、年初には新型コロナウイルスの感染拡大、そして年末にはアメリカ大統領選挙で大規模なトラフィックの突出が見られました。2021年は1月に暴動、弾劾、就任式で高いトラフィックが見られましたが、時が経つにつれて2019年並みの安定したトラフィック傾向に回帰しました。
この3年間を比較するもう一つの方法として、各年のページビューの最高月と最低月の高低差を見てみましょう。最も起伏が少なかった2019年の増減率は17%でした。最もトラフィックが急上昇した2020年は47%です。2021年はその中間で26%となりました。2022年は、ウクライナ戦争のような世界的なニュースによってトラフィックが急騰する可能性はあるものの、月間の平均ページビューの推移は、パンデミック前の安定したパターンに戻ると予想しています。
2021年のトラフィックは減少したが、それでも2019年を上回る
2021年は2019年並みの安定したトラフィックの推移に戻りましたが、2020年の読者数増加の影響も受けています。2021年のトラフィックは前年比で減少したものの、月間平均ページビュー数では2019年を大きく上回っています。このことは、2020年の大ニュースによって獲得できた読者の一部がコンテンツを読み続けていることを示唆しています。トラフィックがパンデミック前から昨年の間の水準に落ち着くことが予想されるとしても、これは来年にとって良い兆しです。
地域別のトラフィック
グローバルの傾向が全体像を示してくれるとはいえ、世界のさまざまな地域を掘り下げることも同じように重要です。同時期のトラフィックの傾向を地域別に見てみると、ある地域はグローバルと同様のパターンを踏襲していますが、他の地域では大きく異なるケースもありました。
例として、過去3年間で最もトラフィックが急増した2021年1月を見てみると、北米とヨーロッパ、中東、アフリカを含む地域は、一様にページビューが増加しています。一方、ラテンアメリカとアジア太平洋地域は、年初にページビューがわずかに増加したものの、比較的横ばいでした。
アジア太平洋地域は、1月のトラフィックが微増しただけでなく、2021年の月間平均トラフィックが2020年を上回った唯一の地域でもあります。 他の全ての地域では、2021年の月間平均トラフィックが20%以上減少しています。
サイトの規模とトラフィックへの影響
サイトの規模によるトラフィックの変化についてもデータを分析してみました。分析を行うために2つのグループ分けを行い、1日あたり10万ページビュー以上を記録したサイトは大規模サイト、それ以下は小規模サイトと分類しました。
この期間中、大規模サイトが総トラフィックの98%を占めたことは想像にかたくありませんでした。興味深いのは、これらの大規模サイトはトラフィックの減少も大きかったことです。2021年の間に、大規模サイトのページビューは2021年の間に21%減少し、かたや小規模サイトは17%の減少にとどまりました。グローバルのトラフィック傾向はほぼ大規模サイトが牽引している一方で、1日のページビュー数が10万未満の小規模サイトのトラフィックのほうがより安定していることは注目に値します。
2022年の重要ポイント
1. 2021年のトラフィックは減少したが、それでもパンデミック前の水準を大幅に上回っている。
2. 2021年のアジア太平洋地域で見られたように、グローバルのトラフィック傾向は必ずしも全地域の傾向と一致するわけではない。
3. 大規模サイトは総トラフィックの98%以上を占めている。これらのサイトでは、トラフィックが減少した場合の影響も大きくなる。
4. COVIDと米国の政治ニュースは、2021年初頭にトラフィックを急増させた。予期せぬ世界的な大事件が発生する可能性は常にあるが、2022年は2020年に急増したトラフィックの一部を維持しつつ、2019年の安定傾向にいくぶん近づくと予想される。
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